日 時:2013 年 8 月 24 日15 時 30 分~18 時 30 分
場 所:グランヴェール岐山(岐阜市柳ヶ瀬通6-14)
講 演:『関節リウマチにおける抗体産生の臨床的意義』
~エタネルセプトのImmunogenicityを含めて~
京都大学大学院医学研究科リウマチ性疾患制御学講座 准教授
藤井 隆夫
認定単位:5単位((2)-g項目)
会 費:1,000円
事 務 局 :近石病院
担当:武内章二
〒502-0901 岐阜市光町2-46
TEL:058-232-2111 FAX:058-294-7380
e-mail:[email protected]
〈抄録〉関節リウマチ(RA)の診療が進歩し、RA患者のコントロールは著しく改善されている。以前は、金製剤など低分子の免疫調節薬が治療の中心であったため長期間使用しても全く効果があらわれない症例や、いったん効いても「エスケープ現象」がみられてコントロールが不可能になる例が多かった。それに比べると、高用量のメトトレキサートに加えて生物学的製剤が使える現在、本邦でもRA治療のunmet needsはかなり減少している(週刊ダイヤモンド、2012)。しかし生物学的製剤使用中、いったん有効性が認められても効果が減弱し、活動性が十分にコントロールできなくなる症例も存在する。なぜそのような現象が起こるのであろうか。あるサイトカイン阻害薬に対して効果が不十分となる場合、①病態がそのサイトカインに非依存性である可能性、②そのサイトカイン阻害が不十分である可能性、が考えられる。①は「エスケープ現象」に近いと考えられる。一方②では、高い疾患活動性のため、投与量が不足している場合と、十分量を投与しているにもかかわらず何らかのインヒビターによりその製剤の効果が減弱してしまっている場合がある。後者の場合、もっとも問題となるのが生物学的製剤の免疫原性であろう。生物学的製剤は高分子の蛋白製剤であるため、それ自身が免疫原性を有して製剤に対する抗体(抗バイオ抗体)が誘導されることはまれではない。そしてそれがサイトカインとの反応を阻害する中和抗体やクリアランスを速める抗体であると、臨床的有効性が減弱する。
RAの治療では、明確な数値目標にしたがって臨床的寛解あるいは低疾患活動性を早期に達成し、いったん達成されたらそれを長期間維持することが重要である。このような治療ストラテジーを遂行することで骨破壊の進行が抑制され、患者QOLが十分に維持される。したがって、生物学的製剤を利用して達成した目標は維持することこそが重要で、継続率が高い生物学的製剤はより有用性が高い。すなわち、継続率に影響を与える生物学的製剤の免疫原性はRA治療において重要な意義を持つ。
本講演では、immunogenicity(抗バイオ抗体)のほかにRA診断の上で重要なリウマトイド因子(RF)や抗CCP(cyclic citllurinated peptides)抗体、および鑑別診断に重要な抗核抗体、さらには一部の生物学的製剤で誘導されるループス様症状についてもディスカッションしたい。さらに臨床的にトータルケアの観点からリハビリテーション治療に関しても言及する予定である。
RAの治療では、明確な数値目標にしたがって臨床的寛解あるいは低疾患活動性を早期に達成し、いったん達成されたらそれを長期間維持することが重要である。このような治療ストラテジーを遂行することで骨破壊の進行が抑制され、患者QOLが十分に維持される。したがって、生物学的製剤を利用して達成した目標は維持することこそが重要で、継続率が高い生物学的製剤はより有用性が高い。すなわち、継続率に影響を与える生物学的製剤の免疫原性はRA治療において重要な意義を持つ。
本講演では、immunogenicity(抗バイオ抗体)のほかにRA診断の上で重要なリウマトイド因子(RF)や抗CCP(cyclic citllurinated peptides)抗体、および鑑別診断に重要な抗核抗体、さらには一部の生物学的製剤で誘導されるループス様症状についてもディスカッションしたい。さらに臨床的にトータルケアの観点からリハビリテーション治療に関しても言及する予定である。
コメント