日 時:2010 年 8月 28日(土)15 時 30 分~18 時 30 分
場 所:グランベール岐山(岐阜県岐阜市柳ヶ瀬通6-14)
講 演:関節リウマチ治療の最新情報
京都府立医科大学大学院医学研究科免疫内科学
講師 川人 豊
認定単位:5単位((2)-g項目)
会 費:1,000円
事 務 局 : 医療法人社団登豊会近石病院
担当:武内章二
〒502-0901 岐阜県岐阜市光町2-46
TEL:058-232-2111 FAX:058-294-7380
e-mail:[email protected]
〈抄録〉昨年10月の米国リウマチ学会(ACR2009)で、ACR/EULAR(欧州リウマチ学会)の Classification Criteriaが公表された。1987年ACRの関節リウマチの分類基準は、患者の疾患を比較する分析的アプローチを初めて用いた基準であり、現在に至るまでの22年間、関節リウマチと他疾患を分類する基準として用いられてきた。しかし、関節リウマチは、発症後2年以内の間に骨破壊が進行するため、早期発見・早期治療の概念が進み、また、生物学的製剤の登場もあり、早期の関節リウマチを診断治療し、寛解を目指すことが目標となっている。この概念に基づき、早期関節リウマチを分類(診断)する基準の作成が望まれ、今回の基準の公表に至った。必須事項としては、①少なくとも1ヵ所の関節で滑膜炎(臨床的もしくはUS/MRIを用いた滑膜炎) が存在し、②関節炎の原因が他疾患で説明されない分類不能炎症性関節炎があげられ(他の疾患による関節炎が除外できる)、骨ビランが存在すればこの時点で、関節リウマチと診断され、存在しない場合はスコアリングシステムを用いて、6点以上(10点満点)であれば関節リウマチと診断する。スコアリングシステムについては、① 関節病変の数と分布、② 血清学的因子(リウマトイド因子、抗CCP抗体)、③ 滑膜炎の持続期間、④ 急性期反応物質(CRP、赤沈)の4項目に分かれている。この分類基準はうまく利用すれば、早期関節リウマチの診断に非常に有用だが、使い方を誤ると関節リウマチでない患者さんに強力な治療を開始しかねないため、十分な注意が必要である。日本リウマチ学会(JCR)では,ACR/EULARによる関節リウマチ新予備診断基準検証委員会を設置する予定 になっており、日本人での感度・特異度を検証し、どの様な応用をしてくのかが示される予定であり期待したい。
現在の関節リウマチの治療目標は、炎症を鎮静化する治療(疼痛及びこわばりの除去)から免疫異常を是正する治療へと変化してきている。すなわち、治療ゴールが関節破壊、運動機能・ADL障害の長期抑制から寛解導入さらには生命予後の改善を目指す様になってきている。この背景には、早期からDMARDsを積極的に使用する戦略が定着してきた事があげられる。今後は、米国の関節リウマチ治療ガイドラインに示されている様に、上記の新分類基準を用いて生物学的製剤の早期からの積極的な治療が主体になってくるものと思われる。
リハビリテーションについては、機能的寛解を目指す上でも重要性が高まっている。自助具も含めて日常診療の中でアドバイスする事が求められます。
本講演では、上記内容とともにEULAR 2010の最新情報を加え関節リウマチ治療の知見を概説したい。