日 時:2011 年 8 月27 日(土)15 時 30 分~18 時 30 分
場 所:グランヴェール岐山
(岐阜市柳ヶ瀬通6-14)
講 演:関節リウマチの基礎的治療法の重要性
東邦大学医学部整形外科教授 勝呂 徹
認定単位:5単位((2)-g項目)
会 費:1,000円
事 務 局 :近石病院
担当:武内章二
〒502-0901 岐阜市光町2-46
TEL:058-232-2111 FAX:058-294-7380
e-mail:[email protected]
〈抄録〉RAの治療は、従来から患者教育、薬物療法、リハビリテーションおよび手術療法によるトータルマネージメントが基礎となっているが、2003年に生物学的製剤の登場以降、MTXと生物学的製剤のみがリウマチの治療とされる傾向にある。生物学的製剤の臨床効果においてはすべての人が認めるところであるが、従来からの抗リウマチ薬の適正な使用により、十分なコントロールが可能であることを念頭に治療を行うことが必要である。また、RAには自然経過があり、一年を通じて活動性は変化することも知られているが、このような観点から患者自身の治療への参画をはじめ、新しい臨床知見の伝達が必要である。従来の薬物療法の優れた点を再確認することも重要である。今日の若手医師は、金療法、Dペニシラミンなどの使用経験、効果なども知らないことから、薬物療法の選択には無いようである。基礎療法としての筋力と関節可動域の維持は、関節軟骨の潤滑、栄養、血流の改善に必要であるが、日常診療の中では、十分な指導がなされない。生物学的製剤は非常に高価であり、すべての人が使用することはできないが、それ故、関節の機能維持に努めることが求められている。関節機能維持において必要なことは、十分なリラクセーションと十分な関節可動域を保つことにある。炎症のコントロールが十分であれば、関節の可動域の改善をもはかることが可能であり、積極的なリハビリは、関節機能の再生をもたらすものと考えている。生物学的製剤の臨床応用によって従来の滑膜切除術の臨床的ニードは明らかに減少したが、関節機能の再建の必要性は増している。RAの手指、肘、膝、足趾などの機能再建が求められており、十分な基礎療法の上に手術的治療が成り立つものと考えている。さらに手術療法そのものも進歩している。手術手技、インプラントなどの改良、開発がなされておりRA治療に役立っている。特に人工関節置換術は、機能再建に最も優れている方法であり、RAの手術療法の進歩は、人工関節の開発とともにあると言っても良い。人工関節による機能再建は、少なくとも無痛性と支持性を確保することができることから、必要なタイミングにて行うことが推奨されている。