日 時:2012 年 10 月 27 日(土)10 時 40 分~11 時 40 分
場 所:名古屋国際会議場(名古屋市熱田区熱田西町1番1号)
講 演:筋線維タイプ異常と筋萎縮
国立精神・神経医療研究センター病院 名誉病院長
埜中征哉
認定単位:5単位((2)-g項目)
会 費:1,000円
事 務 局 :名古屋市立大学大学院医学研究科整形外科学分野
担当:小林正明
〒467-8601 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1
TEL:052-853-8236 FAX:052-842-0266
e-mail:[email protected]
〈抄録〉1)骨格筋には赤筋(タイプ1線維)と白筋(タイプ2線維)がある
骨格筋は大きく赤筋と白筋の2種類に分けられる。前者は収縮が遅く(遅筋)、主な働きは姿勢の保持なので、抗重力筋ともよばれる。脂質、ミオグロビンが多く、エネルギー原は主として脂質代謝からのものである。一方、白筋は収縮が速く(速筋)、すばやい運動に関係し、グリコーゲン代謝からのエネルギーを利用している。動物では筋ごとで、赤筋と白筋が明瞭に(肉眼的にも)分けられることが多い。たとえばラットのひらめ筋は90%以上がタイプ1線維であり、前頚骨筋はほぼ100%がタイプ2線維である。
2)ヒト骨格筋ではタイプ1線維と2線維がモザイクをなして存在する
筋疾患の診断に生検される上腕二頭筋や大腿直筋ではタイプ1線維と2線維はモザイクをなして存在し、その比率は大体1:2である。
骨格筋は大きく赤筋と白筋の2種類に分けられる。前者は収縮が遅く(遅筋)、主な働きは姿勢の保持なので、抗重力筋ともよばれる。脂質、ミオグロビンが多く、エネルギー原は主として脂質代謝からのものである。一方、白筋は収縮が速く(速筋)、すばやい運動に関係し、グリコーゲン代謝からのエネルギーを利用している。動物では筋ごとで、赤筋と白筋が明瞭に(肉眼的にも)分けられることが多い。たとえばラットのひらめ筋は90%以上がタイプ1線維であり、前頚骨筋はほぼ100%がタイプ2線維である。
2)ヒト骨格筋ではタイプ1線維と2線維がモザイクをなして存在する
筋疾患の診断に生検される上腕二頭筋や大腿直筋ではタイプ1線維と2線維はモザイクをなして存在し、その比率は大体1:2である。
各種の組織化学染色(NADH-TR、ミオシンATPase染色、ミオシン抗体染色など)で明瞭に区別できる。タイプ1線維萎縮は先天性ミオパチー、筋強直性ジストロフィーなどの筋疾患と微小重力(宇宙飛行士)でみられる。宇宙飛行士は筋萎縮予防のため、毎日2時間の筋肉トレーニングを行っている。タイプ2線維萎縮はかなり非特異的で、廃用性萎縮、ステロイドミオパチー、低栄養、加齢などにみられる。
3)筋萎縮と関節拘縮
筋疾患特に筋ジストロフィーでは、筋線維が減少して結合組織に置き換えられる。そのために関節の伸縮性がなくなり、四肢の関節拘縮、側彎などがくる。また先天性ミオパチーのような筋線維タイプの分布異常と筋の発育遅延をみる疾患でも高頻度に関節拘縮をみ、手術の対象となる。先天性多発性関節拘縮症(AMC)の骨格筋では神経原性変化(筋線維タイプ分布の異常)をみる。AMCでは筋力低下は高頻度にみられるが、それは進行性ではないので、運動神経の変性ではなく、運動神経細胞の発生異常、あるいは筋への神経支配異常が原因と考えられる。
3)筋萎縮と関節拘縮
筋疾患特に筋ジストロフィーでは、筋線維が減少して結合組織に置き換えられる。そのために関節の伸縮性がなくなり、四肢の関節拘縮、側彎などがくる。また先天性ミオパチーのような筋線維タイプの分布異常と筋の発育遅延をみる疾患でも高頻度に関節拘縮をみ、手術の対象となる。先天性多発性関節拘縮症(AMC)の骨格筋では神経原性変化(筋線維タイプ分布の異常)をみる。AMCでは筋力低下は高頻度にみられるが、それは進行性ではないので、運動神経の変性ではなく、運動神経細胞の発生異常、あるいは筋への神経支配異常が原因と考えられる。
コメント